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外国での暮らし

july 4thのファイヤーワークス

この身体に刻印されていく温度。 あたらしい記憶は、常時自動的にアップデートされてゆく。 私はこの地で混乱し、常にその背中を探している。 明日セカイが終わるかもしれないし、 1時間後に全てを見失うかもしれない。 だから私は今を、選ぶのだ。 嬉しくも悲しくもなくそこにあるストーリー ぷらぷらニューヨーク観光をしてるよな気分で 夜のマンハッタンを歩く ぐだぐだ下らない事を話しながら週末をまたぐ 背中を向 […]…

24 Plain White T’s

朝5時に起きて、薄暗いベッドを抜け出すまえに、がさごそと、できるだけ静かめにふとんの中をあさって掴んだのは、白くて柔らかい、無印のTシャツだった。 それは数時間前まで山下が寝るときに着ていたもので、すぽっと頭からそれをかぶり、大抵ベッドの脇か足元に落ちている自分の短いショートパンツをそのまま下着なしに身につける。 ちらりと斜めうしろを振りかえって、そこに眠っている背中が起きないか注意を払う。 わた […]…

かぞく

20 リュウジとマイ

いつか、山下と一緒に過ごしたのは2015年の暮れのことだったのだけど、その短い数ヶ月のあいだ、たった2回だけ、彼に心をわしづかみにされたことがあった。 一回は大げんかをしたかたしか別れ際のときで、なにが起こったのかよく覚えていないけれど、わたしは山下の家の、2回から階段を降りた玄関のそばで、突っ伏して泣いていた。 激しい嗚咽と、まだ山ほどいろいろ抱えていたわたしは、山下の気持ちがあっという間に冷め […]…

台所

16-b シアトルのチョコレート

そういえば、山下がシアトルに出張にいってきたときに買ってきたらしい、洗ってある(はずの)ポロシャツと合わせて、もうひとつシアトル風を吹かせたがったもののひとつに、チョコレートがある。 3年ぶりに現れた日に、「ああ、おみやげのチョコレートを持ってこようと思ったのに、忘れた」と悔しそうな顔を見せた山下は、翌日さっそくそれを持ってきた。 アメリカでよく見慣れた感じの、センスのいいおしゃれなパッケージの板 […]…

かぞく

16 五角形の痛み

そのあとの一週間といえば、さんざんなものだった。わたしは数日たちすぐに寝込んだ。 こころから一緒にいたいひとが消えた代わりに、わたしのそばには山下がいるという混乱、それはデジャヴのようにわたしを恐怖に陥れて、身体がズウンと重くなり、首や肩のところが凝り固まったように痛くなり、高い熱があるときのような、全身の痛みがするようになった。 それは実はちょうど、ユウ君を諦めて離れるまで長らく続いていた症状だ […]…

かぞく

15-3 壊れたガタガタの階段

  イケアから家に戻る高速道路で、この春わたしは本当は、ユウ君と暮らし始めることを心待ちにしていたのだということをぽつり声に出した。多分、それを誰かに吐き出したことすら初めてのことだったと思う。喉が詰まるような感覚と、ぐっとこらえる涙と、言葉にするのがほんとうに、難しかった。 山下は、わたしがユウ君を好きなことも、揺さぶられて感情的になることも、いつどんなときもほとんど無反応だった。 た […]…